Memories of Tear  第0章


 「急げー!!」
 山間の奥の方から子供の声がこだまする。そこでは四人の子供たちが無邪気に遊んでいる。男の子が二人に、女の子が二人。
 だれもみんな楽しそうな顔をして草の上をかけている。
 四方を山で囲まれ、人口も少なく、誇れるものなど何もない様な小さな村に、彼らは住んでいた。この村に住んでいるのはお年寄りばかりで、子供はほとんどいなかったため、彼らは気が付いたら一緒に遊ぶようになっていた。
 近所に娯楽施設はなく、家には流行りのゲームなんかもない。彼らは自然に近所の山を遊び場にしていた。
 「はぁはぁ、走るのはやいよう」
 先頭を走る少年を目指し三人は付いていくが、途中で一人の女の子が音を上げる。
 「相変わらず体力ないなぁ。でも、ほら。もう見えるぞ」
 先頭の少年が奥の方を指を指して示す。
 そこには、木の生えていない、広い土地が広がっていた。
   「へええ。ここが父さんの言ってた場所か」
 もう一人の少年も森を抜け、感慨深そうにその広い土地を見回す。
 「じゃあ、ここに作るの? 毎日作業するにはちょっと遠くない?」
 少し気の強そうな少女は、冷静に辺りを見回しこれから行う作業のことを考える。
 「大丈夫じゃないかな? お父さんたちが車出してくれるって言ってたし……」
 息切れしていた少女もようやく到着する。
 「うん、なんとかなるよ。きっと、いやたぶん・・・・・・」
 先頭だった少年はリーダーを気取っている風だが、どこか頼りなかった。それでも他のメンバーが嫌がることはない。
 「よし。じゃあ、父さんたちが来るまで、ここで遊んで待ってよう!!」
その少年は元気よく提案する。
   「「「おー!!」」」
 3人は巣すぐに、これまた元気よく返事して返す。
そして、4人は何で遊ぶかも考えずに、広大な広場に走り出した。いつだって彼らは何で遊ぶかを考えることをしない。顔を合わせた後、適当にふざけているうちに、自然と遊びになっているのだ。 




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